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「君に届け 短編」
君に届け その他短編


passing rain3(風早×爽子 短編)

2012.05.31  *Edit 

-3-


『頼む…!龍、泊まらせて!』
突然幼なじみの親友からの電話があって、着信ボタンを押した途端にせっぱつまった声が携帯から鳴り響いた。
拝み倒されて訳がわからないまま指定された場所へ迎えにいって、連れてかえってお茶を飲ませたところで、龍は口を開いた。
「ー何があった?」

幼なじみの親友は、酷く情けない顔で龍を見た。
そしてこの明朗な男にしては珍しく言いよどんでいた。

「…信じてもらえるかどうかわからないけど…」
「…しょーた。」

手っとり早く話してくれないと千鶴が、といいかけた途端にすごい勢いの足音と共に千鶴が飛び込んできた。

そして翔太を見た瞬間ぼくっとひとつ彼の頭を殴った。

「風早!あんた爽子に何したの!?」
「なっ何もしてない!何かしたら困るからきたんだ!」
「「…は?」」
幼なじみで親友で、その妻とも家族ぐるみのおつきあいをしている真田夫妻は互いに顔を見合わせた。
ーーーーーーーーーーーーーーー
「…そういうことだったのか。」
「えっじゃあ、今、風早…って中身高校生なの」

こくりと頷くその動作は確かに普段の風早にしては幼い仕草だ。

「そっか…ごめん、なんか早とちりして。爽子が「少しの間、翔太君をお願い」なんて携帯で言ってくるからさ…」

おまけにちょっとその声が沈んでたからさー。爽子は何も言わないけど、喧嘩でもしたのかと、などと申し訳なさそうに言う千鶴をみると、風早は少し目を見張った。

「…何?」
「いや、吉田が…ほんとに大人っぽくなってるから…」
「…しょーた。人の女房口説くな。」
「口説くかバカっ!」

反射的にそう返したものの目の前の親友も年月を重ねた重厚さを身につけていて、風早は酷く所在ない気分になる。

「でもさ、そんな状況だったらなおのこと爽子と一緒にいた方がいいんじゃないの。」

あんた今周りのことほとんどわかんないんでしょ?
そう当たり前のように聞く千鶴を風早は恨みがましく見た。

「な、なに」
「俺だって、そう思ったけどさ…」
「だったら」
「ーあーっもうこっからは龍にしか話さない!」
かみつきそうな顔をした千鶴から身を隠すようにしながら風早は龍に目を向けた。
「…千鶴」
「なんだよ龍まで!」
ぶうっと膨れる千鶴に龍は耳打ちする。
「わり、頼むわ」
納得いかないという顔をしながらも千鶴はそっと離れた。
「…茶ぁ煎れてくるわ」
ぶっきらぼうに気を使う愛妻に知らずほほえみをこぼしながらも龍は黙り込んでる風早に向き直った。
風早は続きを促す龍の視線に何度かためらいを見せた後ゆっくり口を開いた。

「男だったらわかると思うんだけど…好きな人と一緒にいるのって嬉しい、嬉しいんだけど結構辛い。…俺、ふつうにスケベ…だし。」
「…ん」
「俺、目が覚めてこうなってた時、夢みたいだって思った。黒沼とずっとずっと一緒にいたいって思ってたから、未来の俺は夢を叶えたんだって。」

でも、黒沼めちゃくちゃきれいになってた。…そんで、めちゃくちゃ…色っぽい。側によるとふわって良い匂い、するし、黒沼はいつも良い匂いがするんだけど、でもそれとも違ってなんかもっと甘いっていうか…。それに無防備に近い!そりゃ俺とふ、夫婦、なんだから近いのが当たり前なんだろうけど!でも…。
…こうなってからずっと我慢してたし、そんな事言ったら黒沼が気にしちゃうから頑張ってたけど、もう限界。

風早はそこまで言うと赤くなって小さく言った。

「言いにくいけど…その…」
「…勃っちゃう?」

風早はその瞬間音がしそうなほど赤くなってそして小さく頷いた。
龍はまるで初な高校生のような反応に思わず笑った。

ーってか、中身は高校生なんだもんな。

龍は半分からかうような気持ちで言った。
「いいじゃん、夫婦なんだから。翔太は翔太だろ?あっちが嫌っていわなきゃ、ふーふ生活だって」
「ばっ…そんなんだめに決まってるじゃん!」
風早は赤くなりながらも訥々と言った。

「もし、俺が戻ったとき、「俺」だけど「俺じゃない」奴が黒沼にふれてたらやっぱり腹立つと思う。…俺だったら絶対…やだ。」

龍はくすっと笑った。

あーやっぱ翔太は翔太だなあ。潔癖で、まじめで、そんでものすごい独占欲強い。

風早が彼の妻に見せる独占欲は片思いの時から恋人になり、そして結婚までした現在に至るまでちっとも変わることはなかった。
厳密に言えば高校の時のような幼く拙くかわいらしい嫉妬はなりを潜め、どんどんと落ち着いては、いっていた。
しかし確かに時の経過に従って変化はしたのだが、それは独占欲の質量が減ったというよりはより深くなり、密度を増していったという方が正しかった。軽さが減ったその分、一度それが発揮されたときは苛烈なものとなる事を龍はよく知っていた。

大学に入ってからのことだ。彼の愛してやまない恋人に本気の慕情を手向けてきた青年は、風早の思いも寄らぬ苛烈さに完膚なきまでに打ちのめされる事になった。

その顛末を思えば、愛妻にふれたのがたとえ「自分」であろうと炎のような嫉妬にさいなまれる幼なじみの姿が容易に想像できた。

「…仕方ない、落ち着くまで泊まってけ。どうせ仕事にいくこともできないんだろ。」
「…ん、サンキュ。仕事は…黒沼が、質の悪い風邪を引いたことにしてくれるって…」
ほっとした顔でそう説明する風早に、龍は小さく微笑んだ。

(続く)

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ずっと待ってました!
はやく続きが読みたいです(>_<)

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