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「君に届け 短編」
君に届け その他短編


passing rain2(風早×爽子 短編)

2011.08.03  *Edit 

-2-


キッチンから良い匂いが漂ってくる。
しかしその良い匂いに幸福感を覚えるほどの余裕は風早にはなかった。
「あの、翔太君…?」
「はっはい!」
その返事に爽子の顔が少し曇った。

[敬語はやめて。寂しくなるから…]
そう言った爽子の言葉を思い出す。
風早はあわてて言った。
「あ、ごめん、考え事してて!何?」
「うん、あのね、ご飯できたよって言いにきたの。」
「あっありがとっ…今行くから先に行ってて」
爽子がその言葉に従ったのを見送りながら風早ははあーっと大きく息を吐いた。

ーやべ、直視できない。

さっき、居候(ではないのだけど、気持ち的に)なのだから何か手伝いをとキッチンに行った。
爽子は長い髪を一つに束ねて、清楚な薄い水色のエプロンをつけ、料理に集中していた。

風早は新妻らしい清潔な色気に一瞬ぽーっとなったが、ぶんぶんと頭をふって雑念を振り払った。
そして手伝うことはないかと声をかけようとしたとき、ソレが目に入った。
まとめられた黒髪から覗く陶器のような白い首筋。そしてそこに咲く小さな赤い花。

それがキスマークだと気づいた瞬間に風早の頭に一気に血が上った。

そそそうだよな。新婚って言ってたもんな。つまりアレは「俺」がつけたってことで…。

そこまで思った瞬間信じられないことが体に起こった。
触れた事のないはずの爽子の柔らかい肌の感触がぶわりと蘇ったのだ。
それだけじゃなく、知るはずもない爽子の甘い匂いも鼻腔の奥に広がった。

え、ええええっ!?なんだこれ…っ

戸惑う間もなく、酷い飢えが体を襲った。

あの柔らかく滑らかな肌に触れたい、そして甘い匂いを思い切り味わいたい。

その飢えは炎天下に飲み物を欲するのにも似ていて我慢するのは酷く苦しいものだった。

必死で湧き出す熱を押さえ、そっとキッチンをぬけだしリビングで息を整えた。

ようやくクールダウンしてきたときに爽子から声がかけられたのだ。

平静を装い席につくと目の前の料理のおいしそうな見た目と匂いに急速に空腹を自覚した。

「うっまそう…!いっただきます!」
「ふふっどうぞめしあがれー」

風早が勢いよく料理をかきこむ様子を爽子はにこにこと笑って見ていた。

「うま!やっぱ黒沼料理うまいね」

お世辞じゃなくハンパなくうまい。

ーチクショーいいな俺。飯はうまいし、黒沼は奥さんにしてるし。

そんなことを考えているとふっと柔らかな指が風早の頬に触れた。
思わず息を飲むと、爽子がふふっと微笑んで言った。

「ご飯粒。ついてたよ?」
風早はかあっっと顔が赤くなるのが自分でもわかった。
爽子ははっと気がついた顔で小さく言った。

「ーごめんなさい、ついいつもの癖で」
「えっあっいやぜんぜん!」
何言ってんだ俺、と思いながら ほぼ無意識におかずを口に運んだ。
その瞬間反射的に顔をしかめてしまった。

「あれっこれ嫌いだった?」
「う…ごめん、これってこのわた…だっけ?」
よく父親が酒の肴として食べているのを見たが、自分では食べたことがない。
その独特な風味は自分には違和感が味より勝った。

「『翔太君』は好きなんだけどね」
そう言った爽子の眼にほんのりと浮かんだ寂しさに風早は言葉を飲み込んだ。

そして自分の口には少しあわない「翔太」の好物に箸を運んだ。
「えっ翔太君?」
「ーん、結構慣れればうまい…かも。」
「ごっごめんなさい気を使わせたね!」
「ほんとにうまいってば。もうごめん禁止!今度言ったらおでこ叩くから!」

前喧嘩仕掛けたときこう言ったら「黒沼」は笑ってくれた。だから。

風早の思惑通り爽子はくすっと笑った。
それに安心して風早も微笑んだ。
(続)

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