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「君に届け 短編」
君に届け 短編 (現在~高校卒業前まで)


かぜたん!2(きみにとどけ 短編)

2011.05.26  *Edit 

-2-

風早は焦りながら走っていた。

『溶けるまで』

おばあちゃんは確かにそう言ってた。
ってことはこの糸が見えるのは飴が口の中にある間だけ。
急がないと。

走り続けて道半ばまできて、ふっと気がつく。

あれ、俺手ぶらじゃん。
お見舞いに行くのに、何もないってないよな。そうだ、せめて飲み物とか。

そう思ってコンビニに入ると、脳天気な声をかけられた。
「おー風早じゃん。何お前も、貞子ちゃんのお見舞い~?」

…「も」ってなんだよ。なんでお前が黒沼のお見舞い行くんだよ、
何で、当たり前みたいにそんなこと言ってんの、
だいたいお前、走ってきた俺よりなんで早くここまでついてんの、
つか、お前6時間目でてなくない?

怒濤のような疑問を何からぶつけて良いかわからず、
風早はただむすっとした顔でへらっと笑うその男、三浦を見た。

何より気に入らないのは、こいつの「糸」も俺と同じ方向、つまり黒沼んちに向いてるってことだ。


「6時間目自習だったじゃん?こっちくる用事もあったし、
ついでにお見舞いと思って、さぼっちまったー。」

そう言って三浦はははっと笑った。

「この前クッキーもらっちゃったお礼も兼ねてさ。」

風早の気をしってか知らずか、三浦はあっさりとこんなことを言った。

「風早も行くなら一緒に行こうよ」
「…なんでお前と」

と言いかけて思い出す。
『見える間は ちぎれるし、くっつけられる。』

たしかおばあちゃんはそんなことを言っていた。
…。
…。
ないと思うけど。
絶対あってほしくないけど。
もし、万が一、億が一、こいつの「糸」と黒沼の「糸」がくっついてたりしたら…。

風早はブンブンと首を振った。
そして爽子に渡すためのジュースを急いで買うと三浦に言った。
「ーじゃあ、一緒に行くか。」

―――――――――――――――

「健康そうな貞子ちゃんが風邪引くなんてめずらしーよな。
あ、もしかして風早が寒い格好とかさせたんじゃないのー。薄着の方がかわいいよーなんて」
「…んなことするかっ。つか想像すんな!」
「ほんと、風早って俺に対しては常にサワヤカじゃないよな。」

ケントくん寂しいなーなんて軽口を言ってる三浦に風早はまじめな顔で向き直った。

「あのさ、ちょっと聞いときたいんだけど。」
「えーなになに、やだなあマジ顔しちゃって。告白?なんて」
「…黒沼のこと、好きなの?」

風早の端的な物言いとまじめな顔に三浦は虚をつかれたように黙りこんだ。
しかし一瞬のち、へらりと笑った。

「……すきだよー。貞子ちゃん俺の弟子だし。」
「そういうんじゃなくて!」

少し三浦の顔がかげりを帯びた。

「…なに、お前俺が好きっつったら貞子ちゃんくれんの?」
「…!なわけないだろ!?」

三浦は再び微笑んだ。
それはほんの少し湿り気を帯びた笑みだった。

「だったら、聞く必要ないじゃん?誰が好きってても『お前が』
貞子ちゃん好きなことに変わりないんだしさ。」

「……」
「つっても、俺にとって貞子ちゃんは、んーと…あれだ。一番弟子。親みたいな気分かなー。」

だからお前は俺にも貞子ちゃんをくださいっていいにこなきゃならないんだぞ

そんな冗談と軽口に三浦の本音はうやむやになってしまう。

相変わらず、赤い糸は黒沼のうちの方向に向いてるし、どうしても油断ならない。
だって、こいつは黒沼がすごく綺麗なことを知ってる。
みつからないでと密かに願ってた彼女の綺麗さをこいつはあっさりみつけたんだ

風早は苦い思いで同方向に伸びている自分の小指の赤い糸と三浦の小指の赤い糸を見る。

そんな風早の気持ちを知ってか知らずか三浦は青い空をしばらく眺めていた。
そしてぽつんと言った。

「…俺さーハッピーエンドが好きなんだ」

唐突な言葉に疑問符を浮かべた風早に三浦はにこっと笑った。

「邪魔しないよー。幸せになってほしいもん」

とたん風早は恥ずかしくなった。

ごめん、ほんとはお前の「糸」が彼女にくっついてたら、ちぎってしまおうって思ってた。
んで黒沼のと俺のくっつけてしまえって。

「ん?どした、風早」
「…なんでもない。いこ。」

顔をあげられないまま風早は三浦を促した。
不思議な顔をしている三浦を再度促すと風早は歩き始めた。

「なんだよ、変な奴だな」

選んでいいのは俺じゃない。黒沼が誰を好きになって、
誰を選ぶかは黒沼だけが決められることなんだ。
…もし、俺が選ばれなかったら息が止まるほど辛いと思うけど。
ーこいつみたいに黒沼に幸せになってもらいたいって願いたいんだその時は。


風早はそう思うと半分ほど残っていた口の中の飴をガリガリと噛み砕いた。

口の中から飴のかけらが消えると同時に自分の赤い糸も三浦の赤い糸も見えなくなる。

「あー、飴噛んじゃってやんの。おれもやるやる。我慢できなくなるんだよな」

三浦のその言葉に風早は少し笑ってみせた。

「うん。俺、短気だからな。ーちょっとは我慢しないとな」

三浦はその言葉にきょとんとしながらも、自覚あったんだと笑った。

------------------

「わあ、風早君も、師匠もありがとう…!あっ風邪がうつるのでこの距離は保ったままで!」

爽子は布団から身を起こしてドアのところにいる二人に慌てながら言った。

「あ、あの、今起きてお茶を入れるので…」

と布団からでようとする爽子を風早の声がおしとどめた。

「わっいいよっ…ちょっと顔、見に来ただけだし!寝てなよ!」
「え、でも」

そのときタイミング良く階下から声がかかった。
爽子の母がお茶を入れたらしい。

「あ、どーも!今行きます」

三浦がすかさず答えて、風早も爽子にじゃお大事になんて言って行こうとした。
三浦がそれをウインクしながら止めた。

「まーまー「彼氏」はもう少し話もあんだろ?」

風早も爽子もとたんに真っ赤になった。
ニヤニヤしながら三浦は階下へ去っていった。
少し沈黙があって爽子がそっと口を開いた。

「あの…よかったらもう少しお話を…」
「うっうん!あ、もうちょっと近づいてもいい?少し話しづらいからさ」
「えっ、でも風邪うつっちゃうかも」
「大丈夫、俺丈夫だから!」

そんな会話を交わして風早は少しだけ爽子のそばに寄った。
はにかんだように爽子が微笑んだ。

その笑顔にぎゅっと胸がつかまれる。

あー…エネルギー不足解消。
たったひとつの微笑みなのにすごい威力。

そんなことを思ってると爽子がふふっと笑った。

「不思議…。お薬みたい」
「え?」

とたん爽子の顔がかぁああっと赤くなった。

「なっなんでもないのっ、あ、なんでもなくはないのだけど、その」

爽子は赤くなって呟いた。

「ーすごく、元気でたのが自分でも現金だなあって…」

爽子の俯く姿に胸を打ち抜かれた風早は勢い込んで言った。

「…同じ!俺も顔見ただけで元気になった!」

二人はお互いに真っ赤になって沈黙した。そしてどちらからともなく目を合わせて微笑んだ。

ーよかった。赤い糸をちぎったりくっつけたり、なんて卑怯なことをしたら、
黒沼の顔をまっすぐ見られなくなってた。
それだけは絶対いやだ。俺はこの人の目をずっとまっすぐに見られる自分でいたいんだ。

風早がそんなことを思っていると、身を起こしていた爽子の方から何かころころと転がってきた。

手に取ってみるとそれは赤い毛糸玉。
爽子のそばにある編み棒からつーっとのびてきたもの。
爽子が慌ててその赤い糸をもった。

「やだ、転がってちゃった?」

自分の手と彼女の手に赤い糸の橋がかかった。
風早は呆然とそれをみつめていた。

「風早君?」

風早はにこっと微笑んだ。

「ー運命の赤い糸…なんてな」

風早のその言葉に爽子の頬が紅く染まった。
(おわり)

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