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「君に届け ヤン早シリーズ」
君に届け ヤン早シリーズ0.5


熱病 ~Under the Rose 風早篇~ 後篇(君に届け ヤン早シリーズ0.5)

2008.07.14  *Edit 

君に届け ヤン早シリーズ1(夕立)の少し前
風早視点後編 
前編はこちら 
爽子視点もどうぞ

----2-----


爽子の柔らかな香りが風早を甘く誘った。
その誘惑に耐え切れず、風早は爽子の長い髪に触れた。
さらりと手になじむ綺麗な髪。
指から零れ落ちる感覚にまた胸が締め付けられる。
いけないと思いながらもそぅっとその髪をひとひら掬い口付けた。
心臓が飛び出しそうに早鐘をうつ。
掠れた声で小さく風早は呟いた。

「…爽子。」

爽子の閉じられた瞳が開くことはなく桃色の唇はすうすうと寝息をたてていた。
風早は力なく添えられた白い左手をとって爽子の顔をみつめた。

途中で気付かれたら告白しよう。

こくっと息を飲んで風早はたおやかな細い手を己の唇に近づけた。
まず親指に口付ける。
「…んっ」
爽子が漏らした声に風早は息を飲んだ。
しかしそのまま爽子はまた夢の世界へ戻っていった。
もどかしいような気持ちで次はやや性急に人差し指に唇をつけた。
少しひんやりとした感覚に自分の唇の熱さが際立って感じられる。
気付かれたら嫌われるかもしれない。
-そもそも恋仲でもない少女の指に口付けるなど本来許されることではない。
わかってはいたがその手をおく事はできなかった。
触れてはいけない清らかなものを、唇で食む。
その禁忌感がかえって風早を煽った。
爽子の清純な成分が少しずつ風早に流れ込んでくる気すらして
その華奢な身体を軋むほどに抱きしめたかった。

中指に口付けても爽子の瞼は開く気配がない。
薬指に口付ける時は少し唇が震えた。

彼女が気づかないことに安堵しながら、同時に失望感も大きくなった。
小指に口付ける時にはついに泣きそうな気持ちになって、それまでより長く口付けた。

…この指は約束するための指。

風早はこの白い指につながる赤い糸が自分であればと願わずにはいられなかった。
ついには5本の指すべてに口付けてしまい、彼の小さな賭けは終った。

風早は苦い笑いを飲み込むと爽子を起こそうと一度爽子に声をかけようとした。

その刹那。
白い蝶がふわりと舞いながら爽子の目蓋に停まった。
化粧っけのないきめ細かな白い肌の上の長い睫が微かに揺れる。

清廉なのに官能的で美しいその刹那の光景に風早は息を飲んだ。
息を詰めて爽子の上に屈んでその桃色の唇に己を近づけていった。
熱をもった唇が彼女のそれに触れようとした瞬間に白い蝶がまたふわりと飛び立った。

風早ははっとして哀しそうに笑った。
そして、そっと爽子の目蓋に口付けた。
そのまま彼女の小さな貝殻のような耳に囁いた。
「…忘れていいよ。」
小さな俺だけのひみつのたからものにしておくから。
この薔薇の下での出来事はどうか忘れて。

「う…うん」
爽子が身じろぎし、その桜色の唇が開いた。
風早はびくっと身体を起こすと自分でもおかしなくらい狼狽し、
たっと駆け出した。
息が切れるほど走ってはじめて爽子をそのままにしてきてしまった事に気付き、
また慌てて走って戻ると爽子はいなかった。
帰ったのかとほっと息をつくと爽子の側に咲いていた白い野薔薇が目に入る。
静かに手を触れると1枚の花びらがはらりと落ちた。
風早はそれを大切そうにひろいあげ柔らかく手の中に包み込んだ。
(fin)

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