かなりあ

スポンサー広告


スポンサーサイト

--.--.--  *Edit 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。



にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ
にほんブログ村
*Edit TB(-) | CO(-) 

「君に届け ヤン早シリーズ」
君に届け ヤン早シリーズ0.5


Under the Rose 1(君に届け ヤン早シリーズ0.5)

2008.05.14  *Edit 

君に届け ヤン早シリーズ1 夕立のちょっと前 爽子視点 
風早視点はこちら


----------1----------


初夏の爽やかな風に乗って野薔薇の香りがした。

ああ、もうそんな季節なんだなと爽子はその香を吸い込んだ。

園芸種の艶やかな香りとまた違う野薔薇の地味で清潔な香りにここしばらくの胸の痛みが薄らいでいく。

風早とうまく話せなくなって大分たつ気がする。

自分の好きばかり大きくなって、意識ばかり過剰になってどうしていいかわからない。

風早は相変わらず親切だし優しいし、話しかけようとしてくれる。

なのに自分は嫌われたくないとか、…特別に好きになってもらいたいとかそんな下心が漏れ出しそうで怖くて前みたいに話せない。

そんなものが漏れてしまえば風早に嫌われるかもしれない。

嫌われなくとも優しいあの人はきっと困るだろう。

それだけは嫌だ。

爽子は深い溜息をついた。

この頃ではぎこちなさが風早にも伝染して微妙に避けられてる気さえする。

爽子はブンブンと首を振った。



風早君にとっては私は友達のひとり。

きっといつも通りふるまってるだけ。

…私が期待しすぎてるだけ。



自意識過剰な自分の浅ましさが恥ずかしくて、

風早の顔を見るたびに酸素が薄くなるように苦しくて、

この頃は夜もよく眠れない。

そんな思いを振り切るように、

爽子は普段の真面目な生活に拍車をかけ真面目になった。

学校の生活を真剣にやり、

家でも母の手伝い、掃除やゴミ拾い、勉強を行った。

もっと人の役に立つ人になって自信をもてば

もう少しマシな態度で風早に接することもできる気がしたから

また人に教えられるように要点を整理しながらノートを作った。

『隣の子特典。勉強教えて』そう言ってくれた風早の

明るい笑顔を思い浮かべると久しくない幸せな気分に浸ることができた。

そんな思いつめた様子の爽子を心配した母から薦められて

爽子は公園に散歩に出てきたのだ。

『今の季節は野薔薇が盛んよ』

そう優しく微笑んだ母の言葉通り

公園は白や淡い桃色の野薔薇がそこかしこに咲いていた。

休日の午後の公園は三々五々と人はいるものの穏やかだ。

初夏特有の眩しいけど柔らかな日差しと爽やかな風、

清潔な野薔薇の香りが爽子のうじうじした心を

浄化してくれる気がして爽子はベンチに座ると

眼を閉じてそれらを全身に受け取った。



ああ、そうだ。学校の花壇にも薔薇コーナーを作ろう。

アロマセラピーとかもあるもの。

香りがいいものがあると皆喜ぶよね。



そんな事を考えていると寝不足が続いていたためか

爽子はうとうとと眠りに落ちていった。



『大変大変遅れちゃう』

そんな声で眼を覚ました爽子は眼をこすりつつその声の主を見た。

それは慌てたように走っていく少年だった。

癖のある柔らかそうな黒髪にぴょこんと白いウサギの耳がはえている。

爽子が呆然とそれを見てると、ウサギ少年が足をぴたっと止めて振り向いた。

ハシバミ色の大きな瞳が人懐っこそうで、その顔は端正に整ってはいるが瞳の明るさと愛嬌が少年の印象を冷たい印象から遠ざけていた。

『追いかけてくれないの?』

少年の口からそんな言葉が聞こえ、爽子はきょろきょろと辺りを見回した。

『君だよ。君しかいないじゃん。』

『え、あの、私』

『アリスが追いかけてくんないと話が始まんないんだけど。』

少年はくすりと笑った。

アリス…?爽子は思わず自分の格好を確認した。



袖の膨らんだワンピースにエプロンドレス。

髪には丁寧にカチューシャリボンまでついている。

確かにこれは昔見た絵本で見たままの「不思議の国のアリス」だ。

『俺いかないと。』

走り出すウサギの少年を爽子は慌てて追いかけた。

しかしウサギの足はとても速くてあっというまに遠ざかっていく。

『待って、待ってよウサギさん』

懸命に走るけどちっとも追いつけない。

爽子はどうしてだかすごく泣きたくなった。

『待って、待ってってばウサ…風早君!』

(2へ続く)

スポンサーサイト


にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ
にほんブログ村
*Edit TB(0) | CO(0)

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメント投稿可能です。

~ Trackback ~

トラックバックURL


⇒ この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

 ◆Home  ◆Novel List  ◆All   ◆通常ブログ画面  ▲PageTop 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。