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「君に届け 短編」
君に届け 短編(高校卒業後以上の未来もの)


春夕(君に届け 短編)

2009.03.13  *Edit 

某掲示板の某レスさまに触発されて書いた 君に届け

ちょっと変わったつくりなんで不思議に思われるかもだけど
風早×爽子

ちょい哀しいので甘ラブ意外ダメな方は回れ右

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「はいお茶。喉かわいたろ?」

俺の言葉に彼女は柔らかく微笑んだ。

「ありがとう翔太くん。」

「…あのさ、俺」

言いかけて、やめる。

彼女は小首をかしげるようにして言った。

「なあに?」

「…いや、いいんだ。なんでもないよ。」

彼女は窓の外に眼を向けた。

窓の外では桜が薄桃色の花びらを爛漫と咲かせていた。

「今年も桜がきれい…。」

そう言うと彼女はくすっと笑った。

「桜が咲くたびに翔太くんったら毎年はじめて出会ったときの事話すんだもん。」

童女のような無邪気な笑み。

彼女は緩く編んだ髪を肩のところでひとつにまとめていた。

かつては白い肌に映えたであろう濡れ羽色のそれは今や優しい白銀に変わっている。

重ねてきた年月は彼女から漆黒の髪は奪ったが、優しい少女のような笑みは奪えなかった。

俺は彼女の春色の微笑が小さいころから本当に好きだった。

「どうしたの?翔太くん、元気ないみたい。」

俺がなんでもないよ、って笑ってみせると彼女も安心したように微笑んだ。



家に帰ると親父が俺に声をかけてきた。

「どうだ?おばあちゃんの具合は。」

「うん、今は苦しくもなさそうだったよ。相変わらず俺とじーちゃん間違えてるけど。」

親父は少しおかしそうに笑った。

「お前はほんっと若い頃の父さんにそっくりだからな。」

昔から祖父を知る人は必ず俺を見るとそう言った。

だから、女の好みまで一緒なのかな。

俺はひそかにそう思う。

いつからか俺の理想は「春色の微笑みを持つ女性」になっていた。

大好きな明るい祖父と優しく上品な祖母の仲のいい姿が俺の理想の夫婦像だった。

その祖父が本当に大切な祖母を置いて旅立ってしまったのは一月半ほど前のこと。

急に倒れてから3日ほどで、そのままあまり苦しむ事もなくあっけなく逝ってしまった。

気丈にも祖母は涙一つ見せず祖父の手を握りながら最期を看取った。



祖母は葬式でまだ蕾の固い桜にそっと手をやりながら言った。

誰に言うわけでもなく独り言のように。

『今年も桜見ようって言ったのに…。せっかちなんだから…。』

そして俺に少し哀しそうに微笑んだ。

『これだけ長い間一緒にいたのに、まだ足りないなって思うのよ。』



祖母が体調を崩したのはそれからすぐ後のこと。

すぐ医者に連れて行ったがすべてが手遅れの状態だった。

我慢強い祖母は誰にも面倒をかけないようにと体調の変化をずっと隠していたのだろう。

進んだペインコントロールのおかげで苦しみはほとんどない様子だったが、桜の花が散るようにあっという間に身体は衰弱していった。

そしてその頃から俺を祖父と間違うようになっていった。

夢見るような瞳で愛しそうに俺に『あの頃』の思い出を話す。

その微笑みは俺の知る優しく穏やかなだけのそれではなく綻び始めた桜の蕾のように初々しいものだった。



ベッドに入り目を閉じて、祖父と祖母の恋物語に思いを馳せる。

いつしか俺は眠りに落ちていた。



夢の中で一人の少女が慌てて走ってくるのが見えた。

長い漆黒の髪を少し乱れさせながら白い頬を桃色に染めて駆けてくる。

俺に向かってきたのかと思ったら、彼女は俺をすり抜けてその先に駆けていった。

振り向いて彼女の行った方向に目をやると いつのまにか桜が咲いていて

その木の下に少年が立っていた。

俺より少し若いけど、俺にそっくりなそいつのもとにたどり着いた少女はにっこりと極上の微笑みを浮かべた。

『ごめんね、ちょっと遅れちゃった。』

少年はにっと笑うと少女の頭を撫でた。

『爽子は昔からちょっとのんびりしてるからなあ』

爽子。その名前を何故だか俺は違和感なく聞いていた。

そうか、あの桜の蕾みたいな少女は。

少女は少し拗ねたように頬を膨らませた。

『翔太くんがせっかちなんだよー。今年も桜一緒に見ようって行ったのに。』

少年は、ははっと明るく笑った。

あ、笑顔は昔と変わらないんだな。

誰もが愛した太陽みたいな笑顔。

『ごめんごめん。けど、ほら。桜満開だよ。』

どこからか吹いてきた風が桜を舞い上げた。

二人はそれをみあげてどちらからともなく微笑んだ。

『-翔太くん、約束守ってくれてありがとう。』

『約束?』

『“おばあちゃんになっても、笑顔を守る”って言ってくれた事。“これ以上ないってくらい幸せにする”って言ってくれたこと。』

少女は桜の花が咲くように笑った。

『ありがとう。本当にずっとずっと幸せだったよ。』

少年はちょっと呆けた顔でそれを聞いて次の瞬間赤面した。

『~もー…。爽子は天然でそれやるから怖いよなあ…。あのさ。そんなん俺のが5倍くらい幸せだったって自信ある。-ありがとな。』

二人はみつめあい、そして互いにまた微笑んだ。

少年は少女に手を差し出した。

『…そろそろ、いこっか。』

少女はその手をとって頷いた。



ああ、行ってしまうんだな。

そう思ったとき手をつないだままの二人が俺を振り返った。

一度だけにっこり笑ってそしてやっぱり行ってしまった。



親父の慌てた声で目を覚ました俺は、親父から聞かなくても今病院から受けた連絡がなんなのかわかった。

「…ほんとうに仲のいい二人だったんだな。」

俺の呟きの意味は後でゆっくり親父に教えてやろうと思う。

この大好きな祖母を亡くした痛みとほんのりとした恋心を失った痛みが和らいだ頃に。

(おしまい)
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ネタバレになるので書けませんでしたが 人生を共に過ごした風早と爽子が年老いて旅立つ時のイメージを書いてみました。

台詞は一部分某スレの某作品様よりお借りしました

も一個のブログに載せてたのをこっちにも載せました

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~ Comment ~

逢いたい 

読んでたらFMラジオから
ゆずの逢いたいって曲が流れてきてなんだか作品とシンクロして涙チョロリです。
泣かせやがって・・・。
゜ . ゜(⊃Д`)・ 。・
これからも、マイペースに続けてくらはい!(切望)

ありがとうございます 。・゚・(ノ∀`)・゚・。 

春夕は風爽がこんな風に旅立つといいなーと
思いながら書いたのでそう言ってもらえると嬉しいです。
きっとまた時の巡る環の中で二人は出会い愛し合うのですよ(´∀`*)ウフフ
マイペースでやりますね!

ぐすん 

久しぶりに
「これでもかー」ってぐらい泣きました。
なぜが涙が止まりません。
あぁ。これからなぜが風爽見て泣いちゃうかも・・・

Re: ぐすん 

ありがとうございます!春夕は二人に手をとって歩いて行ってほしくて書いたものです。
お言葉をいただくと本当にうれしいです。
春の少し切ない夕べのような感じを目指しました
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