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「君に届け 短編」
君に届け 短編 (現在~高校卒業前まで)


花は何でも知っている(君に届け短編※企画参加作品)

2010.03.28  *Edit 

初キッス大作戦に参加した作品です。

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そういえば出してなかったので載せてみました。
風早さんがいとしの爽子たんときっちゅをしたくて頑張るそんな一連を小説やイラストでリレーにしていった企画です。
前後が読みたい方はどうぞ企画ページに飛んでください

-1-
episode.5

「爽子の様子が変なのよ」

さわりと桃色の花びらを揺らしながら秋桜が言った。

「そんなの「風早」とツガイになってからいつもじゃないか」

花虎の尾がどこか物憂げに言った。

「ちょっ、まだツガイにはなってないよ。」

マーガレットが白い花びらを慌てたように揺らして言った。

花壇に咲く色とりどりの花々が
マーガレットの言葉を契機にざわざわと喋りはじめた。

北幌高校の片隅にある花壇、通称貞子ガーデンの花たちは
いつも愛情たっぷりに世話をしてくれる爽子のことが大好きだった。

動物さえ畏怖させる爽子の陰気オーラも花たちには全く関係ない。
花たちは絶えず注がれる爽子の細やかな愛情と暖かで優しい心だけを感じてきたからだ。
花たちは爽子の様子をいつも見てきた。

細やかな愛情が少しずつ色づき、あるひとりの人間に静かに輝くような笑顔を向ける様も
その笑顔が曇り花たちに向ける愛情の中に愁いの影をたたえる様もそして、
その哀しみの蕾が一気に綻んで満開の歓びの花へと変わった様も。

恋人ができたからといって、花たちの世話を忘れるような薄情さは爽子にはない。
むしろ恋を咲かせて甘やかさを加えた情愛が花たちをいっそう輝かせた。

だから花たちのすべては本当に爽子が大好きだった。
「で、爽子の何が変だって」
花虎の尾の問いに秋桜がぽつりぽつりと説明しだした。

「確かに爽子はずっとふわふわと浮かれオーラを放っていたわ。でもこの頃はちょっとちがうのよ…」

秋桜はさわさわと桃色の花びらを揺らせて続けた。

ぶつぶつと「ノー意識で」と何回もつぶやいていたと思ったら
真っ赤になって「ああああ 風早君ごめんなさい…っ」とか小さく叫びだしたり
ふんわりと夢見るような瞳で空を見つめて、えへっと笑ったかと思うと
やっぱり真っ赤になってぶんぶん頭を振ってたり…。

「そりゃあもう盛りのピラカンサより赤い顔でね!」

「…風早に何か、嫌なことでもされたのかな。」

黙って話を聞いていた花虎の尾がぼそりと言った。

「花粉…がんがんに出したらあいつ花粉症になるかな」
「ちょいと落ち着きなさいよ、あんたの花粉で人を花粉症にはできないでしょ」

それまで黙っていた鳳仙花がしゃらりと花を揺らした。

「だいたいそれなら、『悲しい』『苦しい』でしょ。違うと思うよ。」
「あーうちらちょっと人のオーラ感じ取れるしね。悲しいって感情じゃないよね。」

マーガレットがぽつりと口を開いた

「私、思い当たることあるよ。」

マーガレットの言葉に花たちは一斉に耳(ないけど)を傾けた。

「私の花の一つがぽとりと地面に落ちたのよ。爽子はそれを拾ったの」

マーガレットは歌うように続けた。

「そしてそぉっと眼を閉じながらその花を唇に当てたのよ。盛りのエリカより赤くなりながらね。」

ごくっと喉をならして(ないけど)花たちはマーガレットの次の言葉を待った。

「爽子は風早と口づけしたいのよ。」

その言葉に花たちはどよめいた。
「協力…してやろうよ。」
誰かが言い出したその言葉にさらにどよめきは大きくなった。

----------ε゜)))彡----------

さて花たちがこんな会話をしてるとも知らず
爽子はいつものごとく花壇の手入れをしていた。

「黒沼!」

その声に爽子は手を止め、まぶしそうな眼を声の主、風早に向けた。

風早は息を切らして爽子の元に駆けてきたが
目の前まで来たところで赤くなって黙り込んだ。

しばらく二人はもじもじと赤くなって黙り込み
意を決したように爽子が風早を見上げたときバチっと風早と眼があった。
風早は息をのんでゆっくりと口を開いた。

「あのさ…」

「はっはいっ」

爽子は思わず如雨露を落とした。
少し残っていた水が爽子と風早の足を濡らした。

「わぁっごめんなさっ」

慌てて爽子がハンカチで風早の足を拭くと
風早が苦笑しながらその手を優しく止めた。

「大丈夫だよ、すぐ乾くし。…謝んなきゃいけないのはおれのほう。」

爽子は息を飲んで少し震える声で聞いた。
「…何を、謝るの…?」
爽子の思いつめた様子には気付かず風早はとつとつと言った。
                             
「あの日さ…想いがかなったときは 夢みたいだって思ったんだ。
本当に夢になるのが怖くてあの日は眠れないくらい嬉しかった。」

少し寂しそうに風早は笑った。 

…実は風早はその時思い出していた。
昨日また三浦に借りた本を読み返したときのことを。

『彼女とはじめての●●大作戦!!』
すでにポストイットがなくても開けてしまうくらい読み込んだその記事の最後には
「注意!こんな行動は嫌われる!」と言う赤文字で書かれた警告記事があった。
それは女性たちがどんな行動に引くかという声を集めてあった。

『がつがつしてると一気に覚めちゃう』
『そればっかり目当てかって気になっちゃう』
『さりげなくされたいのに、していいか確認されるとちょっと…』

このところ必死に爽子の魅惑の唇の影ばかり追っていた風早は自分の行動に
思い当たる事ばかりで一気に蒼ざめたのだ。

ようやく手に入れた宝物。
するりと逃げ出されたら立ち直れない。

その記事を舐めるように読んで
風早は出来る限り自分のがっつきを抑えようと心に誓った。
抑えられる自信は全くなかったけど。

風早はぽつぽつと嘘偽りのない自分の心を告げた。
世界中の誰よりも、この真摯な魂の前では誠実でいたかった。

「…なのに、黒沼が一緒にいてくれることが当たり前みたいに思うようになってて…。
もっと欲しいもっと欲しいってわがままになっていって…。」

こんなすごいこと普通にしてっちゃだめだよな。

風早は心の中で呟くとにこっと爽子に笑ってみせた。

「せかしてごめんな黒沼。
もうこんな事で困らせないようにするから…。」

風早の言葉に真っ赤になってこころなしか潤んだ眼で爽子はじぃっと風早をみつめた。

やばい。この顔可愛すぎる…!

固いはずの誓いが早くも脆く崩れそうな気がして風早は爽子の魅惑的な誘惑から目を逸らした。

「ごめん、黒沼、じゃ」
と慌てていこうとした。
しかし、くん、とシャツがひっぱられる感覚に風早は足を止めた。

見ると思いつめた顔で爽子が風早のシャツのすそをひっぱっていた。
「…え?」

次の瞬間爽子はぽろぽろと泣き出した。

「やだ…!」
「くっ黒沼…!?」
「お別れなんてやだよぉ…!」
「……はぃ!?なんで別れるって話になるの!?」

風早はテンパりながらも泣く爽子をなだめた。
爽子はぐすぐすっと爽子が途切れながら言った。

「だ、だって本の中に…「いつまでも焦らしてると、振られちゃうぞ」って書いてあって…」
「……本?何の話?え?黒沼?」
「ご、ごめんなさっ…いま、泣き止むから…!」

爽子は必死と言った様子で息を整え、とぎれとぎれに涙声で説明をはじめた。

あの映画デートの後、風早とそういうことをするということが現実のものとして迫ってきたこと。
考えると嬉しいけど恥ずかしくてパニックになること。
少しでも慣らせばなんとかなるかもしれない、それには自習が必要だと考えたこと。
なんとかして自習できないかと考えていた時に本屋で目についた
「初彼特集☆そのときの彼の気持ちは?」と言う雑誌を買ったこと。
そしてその記事の中に『ずっと焦らしてると振られることも☆』と書いてあったこと。

「じ、焦らしてたなんてそんなおこがましいつもりはないのだけど!
私の覚悟が遅いことが風早君の負担になったのかもって…怖くなって…。」

それ聞いて唖然として 次の瞬間風早は笑い出した。
きょとん、と自分を見上げる爽子の頭をくしゃくしゃと撫でると風早はもう一度にかっと笑った。

そして自分も雑誌に振り回されてたのだと爽子に伝えた。

「同じ、だよ。俺も黒沼とおんなじ。黒沼に嫌われるのが怖くて、でも触れたくて必死になってた。」

風早は自分と同じくらい爽子も必死で一生懸命だったのだと思うと
たまらなく眼の前の爽子が愛しくなった。

「雑誌の言葉じゃ嫌だよ。
おれ、黒沼の、黒沼自身の言葉を聞きたいよ。」
「…う、うん!私も…私も風早君の…ほんとの気持ち
…風早くんの言葉で聞きたい…。」

言葉はなかったが愛しさを伝える視線で二人はみつめあった。

そのとき風もないのに数枚のいろんな花の葩がふわりと舞い上がり爽子の瞼を覆った。

「きゃ…!?」
「わ、じっとしてて。いまとったげるよ」

小さな花びらを一枚一枚丁寧にとり、風早はにこっと笑った。

「はい、いいよ」

しかし爽子は眼を閉じたままじっと動かずにいた。
頬をピンク色にそめて。

「黒沼…?」
「あ、あの。…ピン先生の…お礼…」
「…あーもー…あれはさ」

理性を無邪気に攻撃する爽子にその意味を説明しようとしたとき、
爽子の恥ずかしそうな囁きが風早の息をとめた。

「し、知ってるの。もう、意味…。」

風早はぎゅっと息を飲んだ。
突き上げる愛しさに無意識に唇が近付いた。
風早の脳裏に健人の言葉がよみがえった。

「お前みたいな童貞クンでもキスできるコツ。それは可愛いと思ったら自然に任せること。
 その気持ちは唇が伝えてくれるから。」

ほんとだな 三浦。キスするのが目的じゃないもんな。愛しいからキス、したいんだもんな

思いながら風早は唇を近づけた。

今度こそ、君に届く。
この愛しい気持ちが。

心臓の音が耳と脳に引っ越したくらいにうるさかったけど
全然不快じゃなかった。

風早はそっと眼を閉じた。


しかしその時こくっという小さな音がした。
愛しさと心臓の激しい音で脳内がいっぱいの風早は気付かなかった。
しかし生来猫のように警戒心が強くさらに神経を張りつめていた爽子は
反射的にその小さな音の方に顔をそらした、その瞬間。

ちゅ
そんな音はしなかったが 気持ち的にはそんな感じで風早は爽子に到達した。

…や、柔らかい。…けど唇ってこんな感触だっけ?本には「マシュマロみたい」って書いてあったけど 
どちらかというとお餅みたいな

そう思いながら風早がそっと眼をあけてみると
真っ赤な顔で頬を押さえる爽子と申し訳なさそうに二人を見ているトモとエッコがいた。

「あの、黒沼…?」
「…!あの!じょろを!片づけてきます!」

言うなり 爽子は如雨露を手に持ちぴゅーっあっという間に駆けていってしまった。

…じょろ?…ああ、如雨露のことね。うん片づけは大事だよね。
……ていうか、今の
…ほっぺ?

いやほっぺにキス、なんてこともしたことないんだから、すごいすごい進歩なのかもしれないけど

…ほっぺ?あのふっくら魅惑的に光る
薄紅色の唇に、また到達できなかったというのか…?

知らず出た深いため息とともに がっくり肩を落とした風早に
トモとエッコがそっと声をかけた。

「あのさ、風早…その、ごめん。見るつもりはなかったんだけどさ、
そういえば貞子のお花お手入れタイムだねって話になって、
この前もらった薬草のお礼いおっかーって話になって、花壇に来たら」
「…風早と貞子が」

二人は赤くなっって言葉を切った。

「キ、キスしようとしてたから…声、かけられなくて」

風早は力なく少し笑った。

…うん。仕方ないよな。
遠藤も平野も悪くないよ。
…ほんのちょっと、泣きそうだけど。

風早はもう一度大きなため息をつくと、暮れかけた夕日をみつめた。
落ちかけの太陽がやけに目にしみた。
(終わり)


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