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「君に届け 短編」
君に届け 短編 (現在~高校卒業前まで)


BonBon××1(君に届け 短編)

2010.02.23  *Edit 

KTV参加作品

-1-

風早翔太は朝からそわそわそわそわしていた。

今日は恋の日バレンタイン。
しかも今年は
しかも今年は!

大好きな彼女がいるのだ。

去年のバレンタインは切なく辛かった。
片思いに焦がされてジリジリしてた上に
自分だけ本命の彼女にはもらえなかったのだから。
本気の愛チョコを期待するほど楽観的でもなかったけれど、友達としてはかなり親しいつもりだった。
せめて彼女の手が触れた、彼女の気持ちのこもったチョコがほしかった。
義理チョコでも友チョコでもいいからと期待していた。
義理がたい彼女ならばそれならくれるのではないかと思っていたから。
でもふたを開けてみれば彼女の友達はもちろん、隣の席のクラスメイトから果てはピンまでもらっていたのに、
自分の手にだけは彼女のチョコは渡らなかった。

あの日は14日の日付が変わるその時まで時計を睨んでいたなあ…。

風早はかすかな胸の痛みとともにあの日を思い出す。
しかし今年は違う。

黒沼爽子は今年は俺の彼女なのだ!
風早翔太は黒沼爽子の彼氏なのだ!

つきあいはじめた頃何気なくバレンタインの時のことを聞いた。
ほんとはちょっとだけ(実はものすごくだけど)期待していたのだと冗談めかして言ったらものすごく可愛い答えが返ってきた。

「下心が詰まりすぎてて…渡せなかったの…。」

その言葉だけでも悶え死にしそうだったのに愛しの彼女はメガトン爆弾を続けて落としてきた。

「らっ来年は!…二年分だから!」

風早はその時の爽子の可愛い顔を思いだし口元がにやけるのを必死で押さえた。

二年分…
二年分の彼女の想い…


何をくれるのかな。
単純に去年の倍の量のチョコとか。
あーそれも可愛いなあ。

両手いっぱいのチョコを抱える爽子を想像してまたもにやけそうな顔を押さえる。

いやいやチョコだってただじゃないんだ。
気持ちでいいんだよ黒沼。

脳内で風早は赤い顔でじっとみつめる爽子に話しかけた。
脳内爽子は可愛いしぐさで小首を傾げると「気持ち?」と小さく問うた。

そう気持ち…。例えばさ、例えば、なんだけど…甘いチョコの代わりに…甘い唇、なんて。

「っっって俺は変態か!」
風早は脳内のスケベな自分に怒りのつっこみをいれた。

クラスメイトがなんだなんだと風早の方を振り向く。

「やっなんでも…ないよ、うん。」

クラスメイトの視線をスルーして風早はちろりと視線を動かした。

視線の先にはもちろん愛しの彼女
その白い手が手に持っているのはどうみてもチョコ。
そしてそれを受け取っているのは彼女の宝物の…親友たち。

ラッピングも細やかで華やかで心をこめました!というオーラがバリバリと伝わってくる。

「わぁありがとねー爽子。大事に食べるよー。」
「うわ、今年のチョコもうまそー。なんだろ爽のチョコってなんか店のと違うんだよね。口の中でほろりととろけるっていうかさ」

吉田の言葉に周りの奴らがざわざわと集まってくる。

「何々貞子の御利益チョコ?」
「俺にもちょーだい!」
「恋が実ると言う噂の…」

実るわけないだろ!
ちょ、俺の恋人のチョコに御利益なんかないから!ただめちゃくちゃ美味しいだけだから!
だから群がるな!俺の彼女に!

「だめだよこれんまいんだから!あたしのぶんなくなるじゃん!」

ゾンビのように千鶴(の持ってるチョコ)に群がるクラスメイトに爽子がぼそっと爆弾を投げ入れた。

「あ、あの~よかったら…たくさんあるので…」

そして照れくさそうに、みんなにもお世話になってるから…一応作ってきたの…と言った。

…黒沼。ねえ、黒沼爽子さん。
君が優しいのも気配りやさんなのもよぉーくしってるよ。

でも俺のは?俺のぶんあるよね?
ごめん ちょっと泣きそう。

一番にもらえるとかちょっとだけ…期待しちゃってたよ。

風早の深いため息を聞きつけた三浦が風早に
にやりと笑った。

「なんだよ風早まだもらってないの?しっかたないなあ俺がもらってきてやるよ。」

「あっばか三浦っ」

風早が止める間もなく、三浦は爽子に声をかけた。

「さーだこちゃん。あのさー今日バレンタインだよねー」

だからさーといいかけた三浦に爽子はうれしそうに振り返り鞄の中のきれいなラッピングを取り出した。

「師匠にはお世話になってるので」
「…えっ何俺にもくれるの!?…ん、うまっ。貞子ちゃん店やれるよ、マジで。」

…あのタレ眼バカ、自分が何しに行ったのか忘れてやがる…。

風早は浮かれてヤニさがる三浦の顔を遠くで睨みながら心の中で呪詛を吐いた。

風早の呪いのオーラが伝わったのか三浦ははっと気づいて言った。

「あのさ、俺にくれるのはとっ…っっても嬉しいんだけどさ。…あの、大事な人にやるの忘れてない?」

その言葉に爽子は真っ赤になった。

「あっ忘れてるわけじゃないよ!うん、大事な人にあげてくるね!」

うんうん、と満足げに頷いた三浦に風早はさっきとはうってかわった感謝の眼をむけた。
(それを見て吹き出した三浦のおかしげな顔はスルーした)

しかし爽子は期待に胸をときめかせる風早の横をするりと駆け抜けていった。

…え?

風早は反射的に爽子の後を追った。

「大切な人」って誰?
俺じゃないの?

息を切らせた爽子の様子をこっそり伺うと爽子はくるみにチョコを渡していた。

差し出されたピンクで女の子らしくラッピングされたそれにくるみはつん、とそっぽを向いた。

「なによ、これ。何のまね?」
「バッバレンタインのチョコ!」
「…バカじゃないの、なんで爽子ちゃんにもらわなきゃなんないのよ。」

その言葉に爽子は少し考えてから口を開いた。

「すきなひとにチョコを渡す日だからいいかなと思って…。」
「…!なによ、太っちゃうでしょっ」

くるみの言葉に爽子はしょんぼりとチョコを引っ込めようとした。
しかしくるみはそっぽをむいたまま手を差し出した。

「今年、だけだからね。」
爽子の顔がぱぁっと明るくなった。

「うんっ来年はお煎餅にするよっ」

爽子のとぼけた言葉にくるみがぷっと笑った。

こそっとその様子をみていた風早は安心したようながっかりしたような複雑な顔をしていた。

ー大切なひとって胡桃沢?
まあ女の子なのはよかったけど…。
でもいつのまにそんなに仲良くなったの?
つか、だいぶ前だけど胡桃沢に告白されたよね俺…。でも今俺とつきあってるのは黒沼で…。いったいどんな経緯があってキミ達仲良くなったわけ?

混乱している風早に気づくことなく爽子はくるみに手を振るとまた歩きだした。

風早はもはや無意識にそれを追った。

「あの、これ…荒井先生に。」
「おお黒沼の邪気払いチョコか!よしよし。
師を敬うのは大切なことだぞ。おまえはわかってるな!」

ああああああのバカ教師!黒沼の頭をわしゃわしゃするな!

ギリギリとピンを睨む風早はふっと我にかえり、自分が情けなくなる。

…人の後をつけるなんて、最低だよな…。

風早は力なくとぼとぼとその場を後にした。

風早がクラスに戻り自分の席にぽてっと座り深いため息をつくと千鶴がにやりと笑いながらよってきた。
「何風早ーまだ爽からもらってないのー?」
「…ほっといてくれよ…」
千鶴はにやっと笑うと爽子のチョコを一つ取り出しぱくっと口に入れた。
「あー爽チョコうまー」
風早が恨みがましく千鶴に目を向けるとさすがに悪いと思ったのかきまり悪そうに笑った。
「悪い、からかいすぎた。これ食べる?」
「…いい」
「何だよ、拗ねんなよ」
「…つか、それは黒沼が、吉田のために作ったもんだから。」

吉田が食べる方がいいと思う。

そう風早が言うと千鶴はちょっと考え、にこっと笑った。
「そっか。それもそうだね。んじゃ代わりにこれやるよ。」

そう言ってポケットからチロルチョコを取り出し風早の手に乗せた。

「ほんとは龍にやろうかと思ってたんだけどふたつあるし、ひとつわけたげるよ。」

千鶴のなんともらしい心遣いに風早はくすりと笑った。
「サンキュ。」
「爽子、忘れてるわけはないと思うからさー。楽しみに待ってなよ。」

千鶴が行った後なんとはなしにそのチロルチョコを食べようとするとはしっとその手が止められた。

「…龍?」
無言で龍は風早の手からチロルチョコを奪うと代わりに小さなチョコレートボンボンを風早に渡した。

そしてチロルチョコをもぐもぐと口に放り込んだ。
「…ごちそーさん。」
そう一言だけいうと龍は去っていった。

風早は一瞬きょとんとしたのち,ぷふっとふきだした。

…うん。このチロルだって吉田が「龍のために」買ったもんだよなあ。
そりゃ他の奴にやりたくないな。

風早はチョコボンボンをポケットにしまった。

その日の最後の授業中。
ずっとチョコはもらえずじまいだったけどきっと放課後…放課後には。

そんな儚い期待を抱いて風早がちらりと遠くの爽子を見ると爽子もちょうど風早をみており、ばちっと眼があった。
とたんに二人の顔が赤く染まる。

熱くなった頬を懸命に醒ましていると風早に一枚のメモがまわってきた。

「放課後、暇があれば、屋上前の階段にきてください 黒沼 爽子」

丁寧な字で綴られた短い言葉に風早は思わず小さくガッツポーズを作った。
(後半へ続く)

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