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「君に届け 短編」
君に届け 短編 (現在~高校卒業前まで)


世界で一番こわいひと(君に届け 短編)

2009.11.19  *Edit 

風早さんのひとりがたり




-1-
小さな頃 日溜まりで眠る黒猫を見た。
俺は犬派なんだけど、猫も普通に好き。
で、子供だった俺はどうしても触れてみたくて何の躊躇もなく近づいた。
だってふかふかと幸せそうに眠る子猫はとても可愛かったんだ。
でも動物、特に猫は警戒心が強くて礼儀しらずの子供の突然の行動を許すわけもなかった。
俺が手を触れる数センチ手前で黒猫はぴくりと耳を持ち上げ
あっと言う間に身を起こすと逃げていった。

やっぱり小さな頃の話だけど、
俺は(今もだけど)外で遊ぶのが好きで、
特に休みの日なんかは早朝から起きだして外で遊び回っていた。
それを発見したのもそんな朝だった。
俺の身長より少し高いくらいの小さな木と木の間に薄い光る糸が網のように張っていた。
それが蜘蛛の巣だとすぐには気づかなかったのはそれがあんまりきれいだったから。
朝露がきらきらと糸に張り付いて夢みたいにきれいだったんだ。
だから触れてみたくて手を伸ばした。

そしたらそれはあっさりと壊れてしまった。

それで俺は怖くなったんだ。

「結婚、してください。」

冗談であのダメ教師が君に言った。
俺のふりして 君に言った。

おれは真っ白。

逃げていった 黒猫
触れると消えた淡いきれいな糸

きれいな君

ほんとはずっと怖かった
夢みたいで怖かった

腕に残る体温も鼻腔の奥に残る君の香も
夢なんじゃないかって

逃げた子猫は戻ってこなかった。

「ふられるかもな」
そんなアホの言葉ばかりリフレインする

逃げた子猫 逃げた君

どうしてくれんの ほんとに
もしあの抱きしめた温度がほんとに夢になったら
どうしてくれるんだ

結婚 なんてそんな事できるわけも
そんな力もないくせに無責任なこと言って
とか そんな事ばかりぐるぐるして

なにより君の涙を見るのが怖くて
あの猫みたいに逃げていった君を
息が止まりそうな思いで追いかけた。

結果はまあ、入る穴を懸命にさがすはめになったくらいで 
君を失うなんて最悪の事態にはならなかったのだけど。

「風早君は幽霊とか怖くないの?」
肝試しの時の話になって 龍がまったく怖がらなかったって話からこんな事を聞かれた。
「うーん 怖いっちゃこわいけど、もっと怖いもんがあるからなー」

きょとんとかわいい顔でなんだろなって
楽しそうに考える君に 
俺は鏡をさしだすかわりに 君の左手をとって薬指に口付けた。

とたんにトマトみたいに赤く染まる君におれはひとつ笑って見せた。

もちろん意図は伝わってないんだろうけど、でも「いつか」を夢見てるのは君だけじゃない。

逃げた黒猫はもどってこなかったけど
おれはあの頃よりずっと足が速くなってる。

おれは真っ赤な顔で少しはにかんだように笑んだ君にもう一度にひっと笑った。
(おわり)
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